統計屋ハルさんのロジカル投資日記

統計解析で必勝ロジック構築 ~怠惰を求めて勤勉に行き着いたお話~

積立投資で儲けよう

 

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積立投資とは

積立投資(つみたてとうし)とは、主に投資信託を購入する際の投資方法。
同一の金融商品、例えば投資信託毎月一定額(自分で決めた額)決まった日に買い付けていく方法ドル・コスト平均法とも呼ばれる。

引用:Wikipedia

 

ひとことに積立、と言っても様々な手法があります。
ここでは4つの手法を挙げて、どの積立手法が優れているかを検証していきたいと思います。

 

 

 

結論を先に述べると、ドルコスト平均法と倍返し法という独自の手法が優秀でした。
その結論に至った理由を、少々長くなりますが説明していきます。

f:id:hal18:20190203183909p:plain※×:0点 △:1点 〇:2点 ◎:3点 とし、総合評価を計算 
 ただし重要な因子である勝率と期待値のみ×2として計算した
  

一括投資とは

文字通り、一括で投資して、あとは放っておくのが一括投資です。
これは積立ではありませんが、比較対象として挙げました。
ドルコスト平均法と比較されてダメ出しされることが多いですが、場合によっては大きく稼げ、買い付け手数料も1回で済むので実は言うほど悪い手法ではありません。

 

定量投資とは

積立のタイミングで毎回同じ口数だけ投資する方法定量投資です。
株価が上がっても下がっても、同じ口数を買い付けるので、株価が上がった時は投資金が増えます。

この手法は勝率においても期待値においても、全くメリットがありませんでした。
投資金も読めないので、株が上がった時は精神的負担も大きいでしょう。
ということで、積立の手法としては使えない、が結論です。

 

ドルコスト平均法とは

毎回同じ口数を買い付ける定量投資に対して、毎回同じ金額で買い付けるのがドルコスト平均法と呼ばれる買い方です。
株価が上がっても、下がっても、同じ金額だけ買い付けるので、必然的に株が高い時は口数は少なく、安い時は口数が多くなります。

 

 一括投資とドルコスト平均法の比較

定量投資は明らかに損でしたので、一括投資とドルコスト平均法を比較してみます。

ドルコスト平均法のメリットとしてよく聞くのは 

①株価が落ちた時にたくさん買うことができる 
②タイミングを考えなくていい

の2点です。


ドルコスト平均法に関する書籍やHPはたくさんありますね。
しかし、なぜ良いのか、と言う点において定量的データをもって掘り下げて検証しているものはあまり見たことがありませんでした。


そこで、どの手法が最も優れているかをシミュレーションしてみました。用いたのは以下の14種類の変動パターンで、10ヶ月でも10年でもいいですが、10回に分けて積立てることを想定します。%の数字は初期からの変動率です。例えば、左から2番目のパターンは株や投資信託の評価額が上がり続け、10回目に積立てる時には倍の価格になっているパターンです。

初期に一括で買った場合、10回に分けて積立てた場合、どちらがお得でしょうか!? 

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すると、期待値を見ても勝率を見てもドルコスト平均法が明らかに有利、なんて結論は出てきませんでした。
分かったことは、現時点に比べて高値で推移する期間が長ければ一括投資が有利、安値で推移する期間が長ければドルコスト平均法が有利、ということです。

この点は非常に重要です。

 

詳しく見ていきましょう。

14種類の変動パターンにおいてドルコスト平均法・一括投資をした場合に最終的な損益がどうなったかを示したのが下のグラフです。※都合上、パターンの順番は並べ替えています

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ドルコスト平均法が有利になったのが5パターン、一括投資が有利になったのが5パターン、差異なしが4パターンと、同程度の成績となっています。

勝率も期待値(損益率の平均)も同じくらいですね。
ただ、一括投資の方がマイナスもプラスも大きく、ハイリスクハイリターンである点は明確な差異と言えます。


違う観点からも見てみましょう。
下は14パターンの変化率を時系列にしたグラフで、一括投資・ドルコスト平均法のどちらが有利かを示したものです。重ね書きしているので非常に見づらいですが、変化率がプラス側(100%以上)で推移しているパターンは一括投資が有利になっているのが分かります。一方、マイナス側で推移しているパターンはドルコスト平均法が有利です。

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ここで、一般的に言われているドルコスト平均法のメリットに対して考えてみます。

①株価が落ちた時にたくさん買うことができる

それは間違いではありませんが、上昇局面=未来に比べて今が既に株価が落ちた状態であったとしたら、積立よりも一括の方がたくさん買うことができるからお得になります。

今からどんどん落ちていったらどうするの?とツッコミが入るかもしれません。確かにそれはその通りです。その場合は積み立てが有利になりますが、下がらずに上がっていった場合は一括投資が有利になるので、トータルで見た期待値は大差ないのです。

 

②タイミングを考えなくていい

に関しても、同じことが言えます。
結局今後上がるか下がるか分からない以上は、積立が有利とは言えません。
もっとも、もし完全な下落トレンドで、未来が読めるのであれば今は積み立てもせずに
ある程度下がったところで一括で買えばいいでしょう。


1985年から2018年までのダウ平均株価を掲載します。
この期間中、どのタイミングから投資を始めたとしても2018年まで持ち続ければ、積立よりも一括投資が勝ります

たとえリーマンショックの直前に一括投資したとしても、です。
開始直後から1,2年で資産が半分になっても耐え切れる精神力は必要ですが(笑)

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このことからも分かりますが、一般的に言われているドルコスト平均法のメリットは実はメリットとは言えないんです。

 

 それでも私がドルコスト平均法を推す理由

これは資金効率が良いの一言に尽きます。

今手元に100万円あるとして、一括投資すると当然ゼロになります。
しかし10回に分けて積立をすると、1回目の投資後にも手元には90万円残ります。その90万円で別の投資を行えば、もっと儲けられますよね!

10回目までの累積投資金額をグラフにするとこのようになります。

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一括投資は一気に100万円投資しますが、10回に分けて積立てれば10回目にやっと100万円に到達します。


下グラフの網掛けの部分が、有効に使えるという訳ですね。

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損が怖いのであれば学資保険やスワップさや取りなど、確実性の高い投資を選んでも、十分に大きな効果が得られます。

また、今手元には資金がないけど、毎年10万円なら出せる、という人も居ると思います。そんな人でも一括投資とほぼ同じパフォーマンスの投資が行える。

そのような観点で、ドルコスト平均法が優れていると私は判断しています。

 

倍返し法

最後に、オリジナルのこの手法を紹介します。
今回最適な積立方法を検証していた時に閃いた案です。


マーチンゲール法」や「倍プッシュ」って聞いた事ありますか?

 

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分かりにくいので例を挙げて説明していきますね。

1万円が50%の確率で0円 or 2万円になるギャンブルがあるとします。
1回負けたら次は2万円賭けます。
それでも負けたら今度は4万円賭けます。

こうして負けた倍の金額を賭けていくことで、いつかは勝てる、という手法です。

画期的に思えるかもしれませんが、どのタイミングで買っても儲けは1万円
例:4回目で勝った場合 1万円負け⇒2万円負け⇒4万円負け⇒8万円勝ち -1-2-4+8=1

軍資金が無限であれば必勝法とも言えますが、無限だったら投資する必要がないですね(笑)

仮に軍資金が127万円だった場合、7回目で資金が尽きるので、7回連続負けなら全額没収、1回でも勝てたら1万円、と言っているのと同じです。期待値を考えれば、全然お得じゃないんです。

ですが、これをアレンジして積立に応用できないか、考えてみました。

1000円の銘柄に10万円投資するとします。
半分の500円になったら投資金額は倍の20万円、とするんです。
倍返し!です。

ただ、単純な倍返しではなく、逆に倍の2000円になったら投資金額は半分の5万円とします。


安くなったら多く買い、高くなったら少なく買う、、、なんか聞いた事ありますよね。
そう、ドルコスト平均法です。ドルコスト平均法を過激にしただけなんです。

が、勝率と期待値のパフォーマンスは、ドルコスト平均法を上回ります

14種類の変動パターンにおいてドルコスト平均法との差を見ても倍返し法の優位性は明らかですね。

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ただ、デメリットもあって

①投資金額が読めない

株価次第で投資金額が変わるので、どれだけ軍資金が必要になるか分かりません。
この点は定量投資と同じで、今回のシミュレーションでは最大1.4倍の投資が必要となりました。

②自動での積立ができない

これも定量投資と同じです。ドルコスト平均法の買い付けは自動で設定できますが、当たり前ですが倍プッシュの設定はできません。
よって、自分で計算して買い付けなければなりません。


ちなみに3倍返し、4倍返しと倍率を上げていくことで勝率と期待値はさらに上がりますが、必要な軍資金が倍以上になってしまうリスクがあるので、倍返しくらいでやめておいた方が無難と思います。

 

積立のタイミング

最後に、積立のタイミングに関して考察してみたいと思います。

一般的なのは1ヶ月に1回積み立てていく方法です。
では、1ヶ月の中で何日に積み立てを行えば最も利益が出るでしょうか?
過去のデータで検証してみましょう。

 

日経ベースでのシミュレーション

月の何日目に購入して、その1ヶ月後の変化率がどうなったかを日経平均ベースで集計しました。
3月5日に購入したら、翌月の4月5日までに何%変化したか。これを26年分集計してあります。よって、ひとつのプロットは12ヶ月×26年分=284個の平均値ということになります。

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これを見ると、勝率では26日、期待値では27日にピークが来ています。
日本の企業では給与が毎月25日払いとなっているところが多いので、25日以降で買いに向かうというトレンドが形成されていると考えられます。
持株会の買い付けが25日頃であることも影響しているでしょう。

25~27日に積み立てを行うのが最良、と言えます。

ダウベースでのシミュレーション

一方、ダウでは同じような傾向が見られませんでした。

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何となく6日あたりにピークがあるような感じもありますが、日経平均のように
はっきりとした傾向は無いと言えます。
アメリカは日本のように給与日が決まっていないことがひとつの要因でしょう。

ダウベースでは6~10日の積み立てが最適、としておきますが、日経平均ベースに合わせて25~27日の積み立てでも問題無いレベルです。

 

 

ハルさんの結論

「積立」とは複数回に分けて定期的に投資していくこと、です。

積立手法で万人向けなのはドルコスト平均法です。
勝率・期待値は良好で、自動で積立ができるため感情に左右されることもありません。

大きなリターンを求める方は倍返し法をお勧めします。
リスクも増えますが、期待値はドルコスト平均法を凌駕しています。

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積立の日は、日本の株や投資信託の場合は毎月25~27日が最も儲かります。
海外は毎月6~10日が良いですが、はっきりとした傾向では無いので日本に合わせて25~27日でも問題ありません。

どんな手法を選ぶにしても、最初に決めたルール通りに積立ていきましょう!

 


それでは皆さん、よい投資を!