統計屋ハルさんのロジカル投資日記

統計解析で必勝ロジック構築 ~怠惰を求めて勤勉に行き着いたお話~

家の中でカマキリを孵化させてみた。 ~創造主物語③~

 

私の友人に「創造主」と呼ばれる男がいた。

無から有を、生命をもつくりだす。
それが彼の想像主たるゆえんだ。

 

f:id:hal18:20181217155156j:plain

 


12月のある日、私は彼の家のそばでカマキリの卵をみつけた。

「へー ここからカマキリが生まれるんですか。初めて見ました。」
彼は興味深そうにそれに見入っていた。

ひとしきり観察が終わると、彼は言った。
「いいものを見せてもらいました。外に返してきてくださいね。」

私は窓際に卵を置いてトイレに行ったきり、その言葉がすっかり頭から消えていた。

 

 

f:id:hal18:20181219204950j:plain


そして翌年、5月のある日、事件は起きた。

彼が時期外れのコタツの上で何かを見つけた

彼「先輩、これなんでしょうか?」

私「ああ、カマキリの赤ちゃんだね。こんなものどこから入ってきたんだろう?」

その刹那、背筋を冷たい汗がつたった。
窓のところのカマキリの卵、そのままだった・・・


「ちょっと花摘んでくるわ。」

そう言っておもむろにリビングからキッチンへ。

窓際を見ると、いるわいるわ。

無数のカマキリ

 

すこしずつ生まれてこればいいものを・・・
どうしてお前ら一気に出てきた!
これじゃどんな名産婦人科医の手にも負えんぞ。


私の不穏な動きを察知したのか、彼もやってきた。

「なんですかこれは!」

「うむ、元気な赤ちゃんだ」

「大きくなれば、蚊やハエを食べてくれるぞ」

飼育を提案したが、0.5秒で拒否された。


今でこそ香川照之氏のカマキリ先生人気で、カマキリに対しての印象も良くなってきたと思うが、当時は嫌いな昆虫ワースト10の常連だった。



「どうしてもイヤならば殺すがいい。さあ殺せ。いつもやっていることだろう?」
そういって近くのハエたたきを渡した


「先輩、できません・・・」

「くだらん感傷だな 貸してみろ」 

 

 

が、、、、、できない!!

f:id:hal18:20181223211301j:plain


ハエならば無慈悲に叩き殺すのに、カマキリの赤ちゃんにはそれができない。 

 

なぜかは説明ができないが、我が子のようにちょろちょろと動き回る無邪気さ。

そして、小さいながらも形はしっかりと死んだ親の形を真似ており、その小さなカマでも戦おうとする勇敢さ。

そんなところがいじらしい。

 

仕方ないので、私たちは空きビンに1匹ずつカマキリを入れ外へと放った。

元気に育って、また帰ってくることを祈って。